テキストの背面に敷いた四角形や楕円形を「座布団」と呼んだりします。アピアランスとグラフィックスタイルで作成すると関単に文字に座布団を敷けます。 アピアランスパネルだけで作成する座布団の基本的な手順を覚え、それを応用すれば、文字に視覚的な効果のバリエーションが一気に広がります。

アピアランスパネルの解説の第二弾として、座布団の装飾をするアピアランスの作成について、Illustrator 2019 で説明します。

アピアランスで作成、グラフィックスタイルで複製

アピアランスパネルだけで座布団を作成し、アピアランスパネルの内容をグラフィックスタイルに登録すれば、簡単に他のオブジェクトにアピアランス反映することができます。以下の動画のように、文字を装飾するアピアランスをグラフィックスタイルに登録すれば、後は文字を入力し、グラフィックスタイルを適用するだけで、簡単に対象の文字に対して座布団を敷いてみたり、囲みをいれたり、反射文字に変更することができます。 

動画では、イラストレーターがデフォルトで提供している、グラデーションやお化けの装飾に変えるグラフィックスタイルの適用例も入れています。

グラフィックスタイル概要

可変長と固定長座布団

動画では、座布団の大きさも文字の長さ(文字数)によって座布団も長くなる 可変長 の例を示しています。また、文字数によらず決まった長さの 固定長 座布団も可能です。 いずれも座布団の真ん中に文字が乗っかる配置になります。座布団と言われる所以でしょうか。

可変長座布団のアピアランスパネル

可変長座布団のアピアランスパネルを解説します。 Hello World の文字に対して黄色の角丸長方形の座布団を敷くアピアランスパネルです。

可変長座布団

字色と座布団のための2つの「塗り」を用意する

  1. 「線」はなし、「塗り」はブルー(#2E3192)が元々の文字の基本アピアランスです。 ここでの「塗り」が文字の色になります。
  2. 座布団となる二つ目の「塗り」黄色(#FCEE21)を追加しています。 この「塗り」で座布団の色を決めています。
  3. オブジェクトのアウトライン化と角丸長方形の効果を追加して座布団の形状や、文字の位置を調整しています。

角丸長方形の形状オプションを指定しています。オプション の項目の サイズ(R) サイズ可変 を指定して、 文字からどれだけ座布団の端を設けるかその値を指定しています。 各々サイズが実際の長方形の形状に該当するかは、図内のサイズで確認できます。

[Caution!]
このサンプルのアピアランスパネルでは、バウンディングボックスを表示させないようにするため、オブジェクトを選択していません。 実際のアピアランスパネルの操作では、必ずオブジェクトを選択しておく必要があります。その場合は、「テキスト」とアピアランスパネルの上部で表示します。

可変長座布団_2

固定長の座布団の場合は、オプション の項目の サイズで、(A)値を指定

ドロップシャドウで座布団の立体感を出す

今回の座布団では、ごく薄く ドロップシャドウ の効果を与えて立体感を出すようにしています。  その効果のあて具合は以下パネルのような内容です。

可変長座布団_3

[Point!]
テキスト内のオブジェクトを指定すると、テキストがやや上付きに位置しています。そのままだと座布団の上でもやや上付きになります 真ん中に自動的に位置合わせをするには、文字と長方形二つのオブジェクトのアウトライン化します。

アピアランスパネルで最初にアウトライン化の効果を追加し、テキストをアウトライン化したことにします。 効果の重ね順も大切なポイントです。角丸長方形の効果を当てる前にパスのアウトライン化をします。

字に囲みを入れるアピアランスパネル

黄色の「塗り」に太さの違う赤と青の「線」を二つ重ねて、黄色の文字に、赤い囲み(内側)と青い囲み(外側)をつけるアピアランスパネルの例を示します。

アピアランスのかかり方はパネルの上から下にかかりますので、内側に位置する赤い囲みの「線」4ptを上にしてその下に外側に位置する青い囲みの「線」 10pt の順にパネル上で効果をスタックしています。 

例えば、青の囲み線を赤の囲み線の上にパネル上で並べる(図中のを逆にする)と、青が10pt と太いため、それに隠れて赤の囲みが見えなくなります。 パネルを重ねる順番で見え方が変わることがこのサンプルでよく理解できると思います。

可変長座布団_4

反射文字が入るアピアランスパネル

「塗り」がピンクに「線」がなしの文字をベースに、あたかもその文字を鏡面に置いたかのように、反射するさまをアピアランスパネルで表現します。 反射する文字のための「塗り」を追加し、その「塗り」に対して:

  1. 変形効果で反射を表現用に垂直方向に縮小移動リフレクトさせます
  2. パスの自由変形で右45度に反射画像を曲げます
  3. 「塗り」もグラデーション効果で先に行くほど薄くさせています

垂直方向に縮小移動リフレクトパスの自由変形の効果をあてるアピアランスパネルの例

可変長座布団_5

グラデーション効果 の効果をあてるアピアランスパネルの例

可変長座布団_6

おまけ リボンの形の座布団のアピアランスパネル

おまけとして、リボンの形にした座布団のアピアランスパネルを紹介します。 

可変長座布団_7

からまで番号がふられている6つのパネルは、 リボンの先にあたる部分を表現する効果の詳細です。

可変長座布団_6

やや複雑なアピアランスパネルです。興味のある方はチャレンジしみてください。